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BIO
齋藤 聰

Martial Arts

根岸流手裏剣術
根岸流手裏剣術は江戸末期、上州小天狗といわれた剣術の名人・安中藩荒木流剣術四代目師範根岸松齢が、水戸藩北辰一刀流剣術師範海保帆平より願立流手裏剣術(流祖松林蝙也斎)の伝を受け、これに新工夫を加えたため、以後根岸流と称せられるようになった。根岸流の源流となった願立流剣術(手裏剣術を含む)は、仙台藩をはじめ東北諸藩に伝わったが、仙台藩は代々上遠野家に伝承され、明和・安永の頃(一七六四-一七八〇年)に上遠野伊豆広秀という手裏剣術の名人を出した。
上遠野伊豆の手裏剣話については、只野の綾女が文化十四年(一八一七)に書いた『奥州波奈志』に載っているが、この手裏剣術が仙台藩主伊達慶邦侯夫人孝子およびその父水戸烈公の手を経て、海保帆平に伝わった。このときまでの願立流の手裏剣は、頭髪の左右に差せるほど細く小形軽量のものであったが、根岸流はそれを太く重く改良したものである。
手裏剣術の打法には直打法、反転打法および回転打法の三種がある。直打法は手裏剣の鉾先を前方に向け、回転させずに打つものであり、反転打法は鉾先を手前にし、百八十度反転させて打つ技法である。また、回転打法は車剣形の手裏剣を打つ技法である。根岸流は直打法である。

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